「あ、あの時頑張っていたら……もしかしたらって、自分にとっての最後の言い訳を取っておくしかないのよ…… さ、最初から、無理だと分かってるんだから…… そ、それくらい良いじゃないの……」

悲劇ぶって「どうしてこうも体調が悪いの!」って、そりゃ昼間から酒を飲むからであり、毎晩カップラーメンしか食べないからであり、家に引きこもり鬱屈した生活を送っているからであり、自業自得以外の何物でもないわけなんですが、自意識過剰自己愛人間のウスズちゃんがそんな理由じゃ納得できませんよね。きっと、文豪が抱くような高尚な懊悩を同じく胸に秘めているから気分が優れないのであり、苦しいのであり、昼間から酒やカップラーメンを食らってしまうのであり、それはウスズが偉大な人間性を秘めている証左だよそうに違いない。そうだ、小説家にでもなったらどうだろう? 芥川賞なんかを取っちゃったりするかもよ? 新進気鋭の作家になって、キャ〜ウスズ先生〜ってサインをねだられたり、「いま録画したぷいきゅあを観ながらパピコをちゅーちゅー吸ってるんですが、ぼくの前世はぷいきゅあだったかもしれない」というクソみたいな呟きが何万RTもされたり、とにかく現状の鬱々とした感じから抜け出せるきっかけになるかもしれない。怠惰に過ごして時間を浪費するくらいなら、なんでもいいから足を一歩踏み出すべき。バットを握らなければ逆転ホームランも打てない。違いますか? 全然違います。ぼくのバットは枯れた向日葵です。ボールに当たった矢先に折れてしまいます。ヒットも打てやしないし、バッターボックスに立った瞬間とんだ笑い者です。いい加減に自分のクソ無能さとクソ凡庸さとクソ卑小さに気づいてください。ぼくという人間に商品になるよう素質も魅力も経験もありませんよ。売り物になるようなものがあるとすれば時間くらいなものです。天賦の才とか卓越した感性とか、夢をみているくらいなら時間を売って働いてください。働いて働いて馬車馬の如く働いて、食って、寝て、休んだら働いて、働いて働いて、それがぼくに期待されている唯一の役割なんですから、他人に認められたいんなら、働いてください。
わかりました。働きます。四の五の言ってごめんなさい。
才能もなく、やる気もないなら、できるわけもないよね。怠惰で愚かな人間でごめんなさい。
昼間から酒を飲んだり、毎晩カップラーメンだったりするのは、自分に高級な悩みがあり生活に手をつけられないからではありませんでした。
ごめんなさい。