2019-01-01から1年間の記事一覧

『肉人形』

仕事が終わり、家に帰ると、不愉快な匂いが鼻についた。 冷蔵庫を開けると、鶏肉が腐っている。料理なんかできるわけないのに、半額だからと気安く買ってしまった鶏肉が、腐って悪臭を放っている。 処理手段を考えることも面倒に思え、とにかく見なかったこ…

『ホラーショー』

仕事で疲れてしまってもう何も手につかぬ。酒を飲むことしかできぬ。今夜も酒を飲んで泥のように眠りこけるだけ。本当はしたいことがあったはずなのに。たとえば読書とか日記とか。え、それがお前のしたいことなの? 本当に? と自問すると、力強くは断言で…

『散髪』

3ヶ月振りにやっと床屋へ行きました。 今の今まで散髪をサボっていたのは単に面倒くさかった、それと、対人コミュニケーションに難がある、というのが主な理由でした。 理容師と何を話せばいいのかわからないというのが、なんというか、自意識過剰さを物語っ…

『ウロボロス』

ぼくの眼前に漠然と横たわる無窮の時間。そして、時間を食らい、無を排泄する大蛇。大蛇の食欲旺盛さと言ったら途方もない。食っても食っても満ち足りぬようである。時間の無駄では、と疑問に思うが、かといって有効につかえる手立てもない。時間が食いつぶ…

『暴力妄想』

自販機の前でタバコを吸っているとおばあさんが通りすがりににこやかな笑みを寄越すのだけど、どうして旧知の仲でもない竹馬の友でもないぼくに笑いかけるんだろう、ってそれは微笑めば微笑み返され和やかな雰囲気が生まれぼくもおばあさんもすこし幸せにな…

「あ、あの時頑張っていたら……もしかしたらって、自分にとっての最後の言い訳を取っておくしかないのよ…… さ、最初から、無理だと分かってるんだから…… そ、それくらい良いじゃないの……」

悲劇ぶって「どうしてこうも体調が悪いの!」って、そりゃ昼間から酒を飲むからであり、毎晩カップラーメンしか食べないからであり、家に引きこもり鬱屈した生活を送っているからであり、自業自得以外の何物でもないわけなんですが、自意識過剰自己愛人間のウ…

『幽体離脱』

ぼんやりと微睡み、快楽のさざなみに心を委ねているうち、ふと悪臭に気がついた。 これは、ぼくの死体が浴室で腐敗しているにおいだ。途端に目がさめた。今の今まですっかり忘れていたけれど、ぼくは死んでいるのだった。急いで浴室へ向かい、ドアを開けると…

『マグロの一生』

ぼくの部屋は日当たりが悪く、昼夜を問わず蛍光灯に頼らねば生活することすらままならない。蛍光灯の明かりは常に一定の光を放ち、そのなかで一日中ひきこもって惰眠を貪っていると、徐々に時間感覚が麻痺し、いま現在何時頃であるのかわからなくなってくる…

『白い部屋』

就業してより無遅刻無欠席、酒はほどほど、煙草は1日2本、ブロンはやめた。 穏やかな土地で暮らし、素敵な彼女と毎日やり取りし、充足した生活を手に入れ、 夢を見た。真っ白い夢。 徐々に輪郭が浮かび上がって、四畳半の一室にぼくはいるとわかった。白くて…

『ぼくだけに見える透明』

煙草を吸おうとコンビニに行くとJTが設置して回っている筒状の灰皿の上に吸い殻が山盛りになっているのを見た。絶対誰かが自動車の灰皿を無遠慮に捨てたのだろうと思うと、よくこんなことができたものだなと、怒りが沸々と込み上げてくる。こんなの、街中に…

『保存の法則』

浴槽を使って思い出をホルマリン漬けにするのもそろそろ限界を迎えて取捨選択を迫られたぼくは、ゴム手袋の手を突っ込んで深い方の記憶から順々に取り出して、どひゃあこんなガラクタを後生大事に取っておいたのか、とケラケラ笑いながら漁っていたが、いざ…

『極彩色』

虫さんの居所が悪いので、僕は虫さんをひねり殺しました。ひねり殺したら、驚くほどの静寂。心の平穏を取り戻した僕は、お昼寝としけこもうじゃないかと、犠牲の上に成り立つ平和を惰眠で浪費して、無駄に生きて死ぬ腹積もりのようです。虫さんが草葉の陰か…

『こけこっこー』

また久々になりましたね。どうもウスズです。最近の出来事は~、なんて、皆さんに報告するような近況はないんですが、お伝えに値する成果物もないんですが、どうしてブログを書き出しているのでしょう? なんて、僕にもわからないこと尋ねたって、皆さんにも…

『マックのハンバーガーだけあればいい』

マックのハンバーガーだけあればいい。あの100円のやつ。1日に1回、あれを2つか3つ食えればそれで十分になっている。それと80円のお茶ペットボトルがあれば他に何も要らない。それで一日の食事が終わる。生活の潤い、豊かさみたいなものが色褪せていくのを肌…

こんばんは。こんなブログにわざわざお越しいただきどうもありがとう。今日も今日とて救いようがない話、意味不明な供述を繰り返すだけなのだけど、それをわかっていて来訪してくれたなら、君たちの正気を疑ってしまうよ。どうせ、君たちは僕を見下し笑い者…

『オワリはじまり』

何もしていない。本当に何もしていない。このまま何もないまま今日を終えるのは虚しいので文章を書くことにする。と言えども、書くことがない。本当に書くことがない。かりゆし58の曲『オワリはじまり』の一節、“もうすぐ今日が終わる やり残したことはない…